執筆: 家づくりナビ編集部
編集・確認: 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ (最終確認: )
住宅ローン借り換えのメリット2026|金利差・残期間・諸費用の損益分岐点シミュレーション
住宅ローンの借り換えとは、現在返済中のローンを別の金融機関のローンで一括返済し、新しい条件で返済を続けることです。借り換え後の返済額は金利・残期間・諸費用で変わるため、金利が下がっても総コストの確認が必要です。
2024年3月のマイナス金利解除以降、日本銀行は段階的に政策金利を引き上げており、変動金利型の住宅ローンを利用している世帯では返済額が増え始めています。金利上昇局面で固定金利への切り替えを含めた借り換えを検討する人が増えている一方、借り換えの判断を誤ると諸費用分だけ損失を被る結果にもなります。
この記事では、住宅ローン借り換えのメリットと損益分岐点の計算方法、手続きの流れ、審査が通りにくいケース、借り換えをすべきでない人の特徴を解説します。
住宅ローン借り換えの3つのメリット
借り換えで得られるメリットは、大きく分けて3つです。
総返済額の削減
金利の低いローンに乗り換えることで、残りの返済期間にわたって利息負担が軽減されます。たとえば残高2,500万円・残期間25年・金利1.5%のローンを0.8%のローンに借り換えた場合、利息の差額は約230万円になります(元利均等返済での概算)。諸費用を差し引いても150万円以上の効果が見込めるケースです。
効果の大きさは「金利差 x 残高 x 残期間」の掛け合わせで決まります。3つの要素のうちどれか1つでも小さいと効果は限定的になるため、数字を具体的に計算して判断する必要があります。
月々の返済額の軽減
金利が下がれば毎月の返済額も下がります。残高2,500万円・残期間25年の場合、金利1.5%から0.8%への借り換えで月々の返済額は約7,500円減ります(上記と同条件の概算)。年間で約9万円、家計の余裕につながる金額です。
月々の返済額を下げるのではなく、返済額はそのままで返済期間を短縮する選択肢もあります。繰上返済効果と合わせて考えると、手取り収入に対する住宅ローンの返済比率が高い世帯では月額軽減を、余裕のある世帯では期間短縮を選ぶのが一般的な判断です。
金利タイプの変更
変動金利から固定金利への切り替え、あるいは短期固定から長期固定への変更を借り換えのタイミングで行えます。現在の金融機関で金利タイプを変更するよりも、他行への借り換えで固定金利を適用した方が条件がよいケースは少なくありません。
金利上昇局面では「今後の返済額が読めない不安」を解消するために固定金利への借り換えを選ぶ世帯が増えます。ただし、固定金利は変動金利より利率が高いため、金利差による総返済額の削減効果は薄くなります。金利タイプの変更は「利息削減」ではなく「返済額の安定性を買う」判断として位置づけてください。
損益分岐点の計算方法
借り換えの判断で最も重要なのは「諸費用を回収できるかどうか」です。借り換えにかかる諸費用と、借り換えによる利息削減額を比較して、削減額が諸費用を上回るかどうかを確認します。
借り換えにかかる諸費用の内訳
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 事務手数料 | 借入額の2.2%、または33,000〜55,000円 | 定率型と定額型がある |
| 保証料 | 0〜借入額の2% | ネット銀行は0円が多い |
| 抵当権抹消登記 | 1〜2万円 | 旧ローンの抵当権を外す |
| 抵当権設定登記 | 借入額の0.1〜0.4% | 新ローンの担保設定 |
| 司法書士報酬 | 5〜10万円 | 登記手続きの代行費用 |
| 印紙税 | 2〜6万円 | 契約金額による |
| 繰上完済手数料 | 0〜33,000円 | 旧金融機関に支払う |
| 全疾病保障等の保険料 | 金利上乗せ0.1〜0.3% | 任意。上乗せ型が主流 |
残高2,500万円の借り換えで諸費用の合計は50〜80万円程度が目安です。事務手数料が定率型(借入額の2.2%)の場合は55万円、定額型の場合は数万円で済むため、事務手数料の体系が諸費用の総額に大きく影響します。
損益分岐の計算例
残高2,500万円、残期間20年、現在の金利1.5%、借り換え後の金利0.8%、諸費用70万円のケースで計算します。
現在のローンの総返済額(残期間分)は約2,886万円。借り換え後は約2,715万円。利息削減額は約171万円です。ここから諸費用70万円を差し引いた実質的なメリットは約101万円になります。
逆に、金利差が0.2%しかない場合、同じ条件でも利息削減額は約53万円にとどまり、諸費用70万円を回収できません。この場合、借り換えは損になります。
大まかな目安として「金利差0.3%以上、残高1,000万円以上、残期間10年以上」の3条件が揃うと借り換えのメリットが出やすいと言われますが、諸費用の金額次第で結論が変わるため、必ず自分のケースで計算してください。住宅ローンシミュレーターを使えば、金利差と残期間を入力して損益分岐の概算を確認できます。
借り換え手続きの流れ
住宅ローンの借り換えは以下の手順で進みます。
まず、現在のローンの残高・金利・残期間を正確に把握します。返済予定表(償還予定表)に記載されているため、手元にない場合は現在の金融機関に問い合わせてください。
次に、借り換え先の金融機関を複数比較します。金利だけでなく、事務手数料の体系(定率型か定額型か)、保証料の有無、団体信用生命保険の保障内容も比較対象です。ネット銀行は金利と保証料で有利なことが多い一方、対面での相談ができないデメリットがあります。
借り換え先を決めたら、本審査に申し込みます。必要書類は源泉徴収票(または確定申告書)、住民票、本人確認書類、現在のローンの返済予定表、物件の登記事項証明書、売買契約書などです。審査期間は金融機関により異なり、2週間から1か月程度が一般的です。
本審査が通ったら、新しい金融機関と契約し、融資実行日を決めます。融資実行日に新しい金融機関から旧金融機関へ一括返済が行われ、同時に抵当権の抹消と設定が登記されます。手続き全体で1〜2か月を見ておく必要があります。
審査が通りにくいケース
借り換えの審査は新規のローン審査と同等の基準で行われます。以下の条件に該当すると審査が厳しくなります。
転職直後で勤続年数が短い場合は不利になります。金融機関によっては一定の勤続実績を求め、転職から間もない段階では申込み自体を受け付けないケースもあります。
年収に対する返済比率が高い場合も審査に影響します。借り換え後の年間返済額が年収の30〜35%を超えると、審査を通過しにくくなります。自動車ローンやカードローンなど他の借入れがある場合は、住宅ローンの返済額と合算して返済比率を見られるため注意が必要です。
物件の担保評価が下がっている場合、借り換え後のローン残高に対して担保価値が不足する(いわゆるオーバーローン)と判断され、希望額を満額借りられないことがあります。築年数が経過したマンションや、地価が下落したエリアの戸建てでは起こり得ます。
健康上の理由で団体信用生命保険(団信)に加入できない場合は、借り換えそのものが難しくなります。団信への加入が融資条件になっている金融機関がほとんどであるためです。現在の団信に加入済みであっても、借り換え先で改めて告知審査が行われます。
住宅ローン全般の審査基準については住宅ローン審査に通らないときの対策で詳しく解説しています。
借り換えすべきでない人の特徴
借り換えが必ずしもメリットにつながらないケースもあります。以下に該当する場合は慎重に判断してください。
残期間が10年未満の場合、利息削減額が小さく諸費用を回収しきれない可能性が高くなります。残高が1,000万円未満であれば同様です。残期間5年・残高800万円のケースでは、金利差0.5%あっても利息差は約10万円にしかならず、諸費用50万円を大幅に下回ります。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用期間中は、借り換えによって控除のメリットが変わる場合があります。借り換え後のローンでも控除の適用は継続されますが、借り換え後の返済期間が10年未満になると控除の対象外になります。控除の残期間が長い場合は、控除額への影響も含めてシミュレーションしてください。
現在のローンに有利な条件が付いている場合も注意が必要です。たとえば、勤務先の利子補給制度を利用している場合、借り換えると補給が打ち切られることがあります。また、現在の金融機関と「金利優遇交渉」で同等の引き下げが実現できるなら、諸費用のかからない金利引き下げ交渉の方が有利です。
金利引き下げ交渉という選択肢
借り換え先を探す前に、現在の金融機関に金利引き下げを交渉する方法もあります。借り換えを検討していることを伝えたうえで「他行の金利条件を提示して交渉する」のが効果的なアプローチです。
金融機関としては、住宅ローンの顧客を他行に流出させたくないため、交渉に応じるケースが一定数あります。引き下げ幅は0.1〜0.3%程度のことが多く、借り換えほどの効果は出ないこともありますが、諸費用がかからない点が大きなメリットです。
交渉が成功しなかった場合に借り換えに進む、という順序で検討すると、手数料を払わずに金利を下げられる可能性を取りこぼさずに済みます。
住宅ローンの金利タイプや返済計画の全体像は住宅ローンの基礎知識のトピックページで体系的に確認できます。変動と固定の選び方について迷っている場合は変動金利と固定金利の比較も参考にしてください。
借り換え判断のチェックリスト
借り換えを検討する際に確認すべき項目を整理します。
- 現在の金利と借り換え候補の金利差は0.3%以上あるか
- ローン残高は1,000万円以上か
- 残期間は10年以上か
- 諸費用(事務手数料・保証料・登記費用等)の概算はいくらか
- 利息削減額から諸費用を差し引いた実質メリットはプラスか
- 住宅ローン控除の残期間と影響はどうか
- 団信に再加入できる健康状態か
- 勤務先の利子補給制度を利用していないか
- 現在の金融機関との金利引き下げ交渉は済んでいるか
すべてを満たす必要はありませんが、損益分岐点の計算で実質メリットがプラスであること、団信に再加入できることの2点は借り換えを進める上での必須条件です。
資金計画全体の見直しを考えている方は、住宅会社や金融機関への一括相談で複数のプランを比較するのも有効です。
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借り換えの諸費用はどのくらいかかりますか。
残高2,500万円の借り換えで50〜80万円程度が目安です。内訳の大部分は事務手数料で、定率型(借入額の2.2%)の場合は55万円、定額型なら数万円で済みます。保証料、登記費用、印紙税、司法書士報酬が加わります。金融機関ごとに諸費用の体系が異なるため、金利だけでなく諸費用込みの総コストで比較してください。
借り換えると住宅ローン控除はどうなりますか。
借り換え後のローンでも住宅ローン控除の適用は継続されます。ただし、借り換え後の返済期間が10年未満になると控除の対象外になります。また、借り換え後のローン残高のうち控除対象となる金額の計算が変わる場合があるため、借り換え前に税務署や税理士に確認するのが確実です。
変動金利から固定金利への借り換えは得ですか。
「利息削減」を目的とする場合、固定金利は変動金利より利率が高いため、現時点での総返済額は増える可能性があります。固定金利への借り換えは「今後の金利上昇リスクを回避し、返済額を確定させる」ことが目的です。金利がどこまで上がるかの予測は誰にもできないため、家計の安定性を優先する判断であれば合理的な選択です。
借り換え審査に落ちた場合はどうすればよいですか。
まず審査に落ちた理由を推測し、改善できる点があれば対処してから別の金融機関に申し込む方法があります。他の借入れ(カードローン・自動車ローン等)を完済して返済比率を下げる、勤続年数が短い場合は1年以上経過してから再申し込みする、といった対策が考えられます。現在の金融機関に金利引き下げ交渉をする選択肢も残っています。