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住宅ローン

住宅ローンは変動と固定どっちが得?金利タイプ別の総返済額シミュレーション

住宅ローンを組むとき、変動金利と固定金利のどちらを選ぶかは誰もが直面する判断です。住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2025年4月公表)によると、変動金利の利用割合は76.9%と圧倒的多数ですが、2024年3月のマイナス金利解除後、金利上昇への不安から固定金利への関心が高まっています。住宅ローンの変動と固定どっちが得かは、将来の金利推移だけでなく、借入額・返済期間・家計の余裕度で変わります。この記事では3,000万円・35年のシミュレーションを軸に、金利タイプごとの特徴とリスク、判断の具体的な基準を整理します。

変動金利・固定金利の仕組みの違い

金利タイプを比較する前に、それぞれが連動する指標と仕組みの違いを確認します。

変動金利

短期プライムレート(短プラ)に連動し、通常は年2回(4月と10月)金利が見直されます。適用金利は「基準金利 - 引き下げ幅」で決まり、引き下げ幅は借入時に確定して完済まで固定されるのが一般的です。基準金利が上がれば適用金利も上がります。

多くの銀行には「5年ルール」と「125%ルール」が設けられています。5年ルールは返済額を5年間据え置く仕組みで、125%ルールは次の5年間の返済額増加を前回の125%に制限する仕組みです。ただし、返済額が据え置かれても利息の増加分は元金返済に食い込むため、未払い利息が蓄積するリスクがあります。SBI新生銀行やPayPay銀行など一部のネット銀行ではこれらのルールが適用されず、金利上昇がすぐに返済額へ反映される点に注意が必要です。

全期間固定金利

10年国債利回り(長期金利)に連動し、借入時の金利が完済まで変わりません。住宅金融支援機構のフラット35が代表格で、民間銀行でも全期間固定の商品を扱っています。金利水準は変動金利より高く設定されますが、将来の返済額が確定するため家計の見通しが立てやすいのが特徴です。

期間選択型固定金利

当初5年・10年・20年などの一定期間だけ金利が固定され、固定期間終了後に変動金利に移行するか、再度固定期間を選択するタイプです。当初固定期間が長いほど金利水準は高くなります。固定期間が終了したあとの「引き下げ幅」は当初期間中より小さくなるのが通例で、実質的な金利が跳ね上がるケースがある点は見落とされがちです。

参照金利の違いが判断に及ぼす影響

変動金利は短期金利、固定金利は長期金利に連動します。市場が将来の利上げを織り込むと長期金利が先に上昇するため、「変動金利が上がりそうになってから固定に切り替えればいい」という判断は実行しにくい構造です。固定金利のほうが先に上がるため、切り替え時にはすでに固定金利が高くなっていることが多いのです。

2026年4月時点の金利水準

金利タイプ金利の目安
変動金利(ネット銀行)0.60%〜0.90%
変動金利(メガバンク)0.75%〜1.10%
10年固定1.10%〜1.30%
全期間固定(35年)1.70%〜1.90%
フラット351.80%〜1.95%

日銀は2024年3月にマイナス金利を解除し、2026年4月時点で政策金利は0.75%に達しています。変動金利は過去数年で0.3〜0.4ポイント程度上昇しており、「変動金利は上がらない」という前提は成り立たなくなっています。一方、全期間固定との差はまだ0.8〜1.2ポイントあるため、変動金利の金額的な優位性は残っています。

3,000万円・35年の総返済額シミュレーション

金利タイプの損得は「変動金利が今後どれだけ上昇するか」に依存します。以下のシミュレーションで金利上昇幅ごとの総返済額を比較します。

試算条件:

シナリオ別の総返済額比較

シナリオ変動金利の推移変動の総返済額固定の総返済額差額
A: 金利ほぼ横ばい0.65%→0.85%約3,210万円約3,530万円変動が約320万円得
B: 緩やかに上昇0.65%→1.50%約3,370万円約3,530万円変動が約160万円得
C: 段階的に上昇0.65%→2.50%約3,590万円約3,530万円ほぼ同額(固定がやや得)
D: 急上昇0.65%→3.50%約3,850万円約3,530万円固定が約320万円得

シナリオAとBでは変動金利のほうが総返済額は少なくなりますが、シナリオCの「変動金利が2.5%に達する」あたりで損得が逆転します。変動金利が現在の0.65%から2.5%に上昇するには政策金利が2%台に乗る必要があり、過去30年の日本で実現したことはありません。しかし欧米の金利水準(政策金利4〜5%)を見ると、理論上あり得ないシナリオとも言い切れません。

月々の返済額の違い

金利タイプによる毎月の返済額の差も確認します。

金利タイプ当初の月々返済額金利上昇後(1.5%時)金利上昇後(2.5%時)
変動(初期0.65%)約79,880円約91,850円約107,250円
全期間固定(1.80%)約96,330円96,330円(変わらない)96,330円(変わらない)

変動金利の当初返済額は月約79,880円で、固定との差は約16,450円です。この差額は年間で約19.7万円、10年で約197万円になります。金利が上がらない限り、この差額分を繰上返済の資金や貯蓄に回せる点が変動金利のメリットです。

一方で、変動金利が1.5%に上がると月額は約91,850円となり、固定との差は縮まります。2.5%になると月額は約107,250円で、固定の96,330円を逆転します。

金利上昇時のリスクシミュレーション

変動金利のリスクは、金利上昇が「いつ」「どの速度で」起きるかによって変わります。

早期に上昇するケース

借入から5年以内に金利が1.5%に上昇する場合、元金がまだ多い段階で利息負担が増えるため、総返済額への影響は大きくなります。5年ルールが適用される銀行では返済額は据え置かれますが、利息の増加分が元金返済を圧迫し、5年後の返済額改定時に一気に負担が増えます。

後半に上昇するケース

借入から15〜20年後に金利が上昇する場合は、すでに元金が減っているため影響は比較的小さくなります。この間に繰上返済で元金を減らしていれば、金利上昇の影響をさらに吸収できます。住宅ローンの繰上返済については繰上返済のタイミングと効果で詳しく解説しています。

5年ルール・125%ルールの落とし穴

5年ルールは「返済額が変わらない安心感」を与えますが、利息が増えた分は見えないところで元金返済を食い込んでいます。金利上昇が長期化すると「返済しているのに元金が減らない」状態が起こり得ます。125%ルールも同様で、返済額の増加を抑制する分、最終返済期に未返済元金が残る可能性があります。この場合、35年目に残額を一括返済するか、返済期間を延長する交渉が必要になります。

フラット35との比較

フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する住宅ローンで、全期間固定型の代表格です。

比較項目フラット35民間銀行の全期間固定
金利(2026年4月)1.80%〜1.95%1.70%〜1.90%
審査の基準物件重視(適合証明書が必要)人物重視(年収・勤続年数等)
団体信用生命保険(団信)任意(未加入なら金利が0.2%低い)原則加入必須
繰上返済の最低額100万円以上(窓口)、10万円以上(ネット)1円から可能な銀行が多い
事務手数料借入額の1.1〜2.2%借入額の2.2%が主流
保証料不要不要〜金利上乗せ0.2%程度

フラット35の特徴は、雇用形態や勤続年数の審査基準が民間銀行よりも柔軟な点です。自営業や転職直後の方でも借りやすく、物件が技術基準に適合していれば審査を通りやすい傾向があります。審査に不安がある場合は住宅ローン審査に落ちたときの対処法も参考にしてください。

一方で、繰上返済の最低金額が窓口で100万円以上と高めに設定されている点、中古物件では適合証明書の取得に時間と費用がかかる点はデメリットです。

フラット35には当初10年間の金利を引き下げる「フラット35S」もあります。長期優良住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など一定の性能基準を満たす住宅で利用でき、当初10年間の金利が0.25〜0.5%引き下げられます。新築でハイスペックな住宅を建てるなら、フラット35Sの適用可否を確認する価値があります。

ミックスローンという選択肢

変動か固定かの二択ではなく、借入額を分割して変動と固定を組み合わせる「ミックスローン」も選択肢になります。

ミックスローンの代表的な組み方:

変動金利部分で低金利のメリットを享受しつつ、固定金利部分で返済額の一部を確定させることで、金利上昇リスクを分散させる考え方です。

ミックスローンのメリット

ミックスローンのデメリット

ミックスローンは「変動が怖いけど固定は高い」と感じる層に向いています。変動と固定の比率をどうするかは、金利上昇時の家計の耐性で判断するのが合理的です。

年収・借入額別のおすすめ判断フロー

金利タイプの選択は家計のリスク耐性に依存します。以下のフローで自分に合うタイプの方向性を確認してください。

変動金利が向いている方

固定金利が向いている方

判断に迷ったときの目安

3,000万円・35年の場合、変動金利が1.8%未満にとどまり続けるなら変動のほうが総返済額は少なくなります。一方、変動金利が2.5%を超える水準まで上がると固定のほうが得になります。「変動金利が将来2.5%を超える」と考えるかどうかが分岐点です。確信が持てないなら、ミックスローンで両方のメリットを取りに行くのも合理的な判断です。

住宅ローンの組み方の全体像は住宅ローンの組み方ガイドで整理していますので、金利タイプ以外の要素(返済方法・団信・諸費用)も含めて検討してください。

金利タイプを選んだあとにやるべきこと

金利タイプの方向性が決まったら、具体的な金融機関の選定に移ります。同じ変動金利でも銀行によって基準金利や引き下げ幅が異なり、諸費用(事務手数料・保証料・団信の内容)まで含めた実質コストには差があります。

住宅ローンの考え方の総覧は住宅ローン・資金計画のすべてにまとめています。資金計画全体を検討する段階では、複数社の見積もりを取得し、各社の提携ローン条件も含めて情報を集めるのが効率的です。住宅ローンの諸費用は住宅ローン事務手数料の比較頭金の目安もあわせてご確認ください。

変動金利が上がったら固定金利に切り替えられますか?

制度上は可能ですが、実行は難しいのが現実です。変動金利は短期金利に、固定金利は長期金利に連動しており、市場が利上げを見込む場面では長期金利のほうが先に上昇します。「変動が上がりそうだ」と感じた時点では、固定金利はすでに高くなっていることが多いのです。切り替え時の金利が想定より高くなり、結局変動のまま継続するケースが大半です。金利上昇に備えるなら、最初からミックスローンにするか、繰上返済の資金を確保しておくほうが現実的な対策になります。

住宅ローンの金利タイプは途中で変更できますか?

同一銀行内での金利タイプ変更は、多くの銀行で対応しています。変動から固定への変更は手数料無料の銀行が多い一方、固定から変動への変更には解約手数料が発生するケースがあります。ただし、変更時の金利はその時点の市場金利が適用されるため、金利上昇局面では有利な条件での変更は期待しにくくなります。別の銀行への借り換えも選択肢ですが、事務手数料・登記費用で30万〜80万円の諸費用がかかるため、金利差による削減額と諸費用を比較して判断する必要があります。

年収400万円で3,000万円の住宅ローンを組む場合、変動と固定どちらがいいですか?

年収400万円で3,000万円を借りると年収倍率は7.5倍、返済負担率は手取り年収の30%前後になります。この水準では金利上昇時に家計が苦しくなるリスクが高いため、返済額を確定できる固定金利のほうが安全です。変動金利を選ぶ場合は、金利が1.5%に上昇したときの返済額(月約9.2万円)でも家計が回るかを事前に確認してください。教育費や車のローンなど他の支出も加味し、手取り年収の25%以内に返済額が収まるかどうかが判断の目安です。

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このトピックの全体像は 住宅ローンガイドからご覧いただけます。

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