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土地活用

不動産の相続税計算方法|評価額・基礎控除・特例をわかりやすく解説

不動産の相続税計算で押さえるべき3つのポイント

親から土地や建物を相続したとき、「相続税がいくらかかるのか」を事前に把握しておくことは、活用方針を決めるうえでも欠かせません。不動産の相続税計算では、次の3つのポイントを順に理解することが重要です。

  1. 不動産の相続税評価額(路線価・倍率方式)
  2. 基礎控除を超えるかどうかの判定
  3. 小規模宅地等の特例など、使える減額措置の確認

国税庁が2024年12月に公表した「令和5年分 相続税の申告事績の概要」によると、相続税の課税割合は9.9%で昭和42年以降の過去最高を更新しています。被相続人(亡くなった方)157万6,016人のうち15万5,740人が課税対象で、課税財産のうち土地が占める割合は全体の約31.5%です。かつて「資産家だけの問題」と思われていた相続税は、都市近郊に不動産を持つ一般家庭にも関係するものになっています。

この記事では、不動産の相続税を自分で計算するための手順を、具体的なシミュレーションを交えながら解説します。

ステップ1: 不動産の相続税評価額を求める

相続税は「時価」ではなく「相続税評価額」を基準に計算します。相続税評価額と実際の市場価格は異なることが多く、一般に相続税評価額は市場価格の70〜80%程度とされています。

土地の評価方法(路線価方式・倍率方式)

土地の評価方法は、地域によって2種類に分かれます。

評価方法対象地域評価額の求め方
路線価方式市街地(路線価が設定されているエリア)路線価 × 地積(㎡) × 各種補正率
倍率方式農村・郊外(路線価のないエリア)固定資産税評価額 × 倍率

路線価は毎年1月1日時点の価格を7月初旬に国税庁が公表します。単位は1㎡あたり千円で表示されており、たとえば「250C」と表示されていれば1㎡あたり25万円です。

路線価方式の計算例

東京都内の住宅地で次の条件の土地を相続する場合を想定します。

相続税評価額 = 30万円 × 200㎡ × 1.00 = 6,000万円

不整形地(旗竿地・三角地など)の場合は不整形地補正率が適用され、評価額が5〜20%程度下がります。また間口が狭い土地は間口狭小補正率、奥行きが長い土地は奥行長大補正率が乗じられます。

建物(家屋)の評価方法

建物(家屋)は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。

建物の相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 1.0

固定資産税評価額は、市区町村から毎年送られてくる「固定資産税・都市計画税 納税通知書」に記載されています。固定資産評価証明書を役所で取得しても確認できます。

自宅(自用地・自用家屋)の評価

被相続人が自宅として使用していた土地・建物の場合、補正なしの評価額(自用地評価額)で計算します。一方、賃貸に出している土地・建物は評価が下がります(後述の貸家建付地)。

ステップ2: 基礎控除と課税遺産総額の計算

すべての財産の相続税評価額を合計したのち、基礎控除を差し引いた金額が課税遺産総額になります。基礎控除を下回る場合は相続税がかかりません。

基礎控除の計算式

基礎控除 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

相続人が配偶者と子2人の計3人の場合、基礎控除は4,800万円です。不動産を含む全財産の評価額合計が4,800万円以下であれば、相続税は発生しません。

課税遺産総額の算出例

次の条件で課税遺産総額を計算します。

財産評価額
土地6,000万円
建物800万円
預貯金500万円
合計7,300万円
基礎控除(相続人3人)△4,800万円
課税遺産総額2,500万円

この例では課税遺産総額が2,500万円です。ここから法定相続分に応じた相続税額を計算し、実際の取得割合で按分します。

ステップ3: 相続税の税率と税額の計算

課税遺産総額を法定相続分で仮に分割し、それぞれの金額に税率をかけて各人の仮の税額を求めます。

相続税の速算表

法定相続分に応じた取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

計算例(課税遺産総額2,500万円・相続人3人)

法定相続分: 配偶者1/2(1,250万円)、子各自1/4(625万円ずつ)

相続人法定相続分額税率控除仮の税額
配偶者1,250万円15%50万円137.5万円
子(1人目)625万円10%62.5万円
子(2人目)625万円10%62.5万円
合計(相続税総額)262.5万円

相続税総額262.5万円を実際に取得した財産の割合で按分します。この例で配偶者が不動産をすべて取得し、子2人は預貯金を等分した場合、按分の詳細は実際の財産取得割合によって変わります。

ステップ4: 主要な控除・特例の適用

相続税総額から差し引ける控除・特例を確認します。うまく活用することで税額が大幅に減額される場合があります。

小規模宅地等の特例(最重要)

被相続人が住んでいた自宅の土地や、事業・貸付に使っていた土地について、一定の条件を満たす相続人が取得した場合、相続税評価額を大幅に減額できます。

区分限度面積評価減率
特定居住用宅地等(自宅)330㎡まで80%減額
特定事業用宅地等400㎡まで80%減額
貸付事業用宅地等(賃貸物件等)200㎡まで50%減額

特定居住用宅地等の適用条件

被相続人の配偶者が取得した場合は、条件なしで適用されます。同居の子が取得した場合は、相続開始前から同居していること、かつ相続開始後から申告期限(相続を知った日から10ヶ月)まで居住・保有することが条件です。

別居の子(「家なき子」特例)が取得する場合、相続開始前3年以内に自分や配偶者が所有する家屋に住んでいないことが必要です。持ち家をお子さんに名義変更したり、売却してから相続するといった直前の対策は特例の対象外になる場合があります。

特例適用による節税効果(計算例)

先ほどの例で特例を適用した場合を計算します。

項目特例なし特例あり
土地評価額6,000万円1,200万円
全財産合計7,300万円2,500万円
基礎控除4,800万円4,800万円
課税遺産総額2,500万円0円
相続税総額262.5万円0円

自宅の土地が330㎡以内で、配偶者か同居の子が引き継ぐ場合は、相続税がゼロになるケースも多くあります。

配偶者の税額軽減

配偶者が取得した財産については、「法定相続分相当額」か「1億6,000万円」のいずれか大きい方まで、相続税が課税されません。配偶者がいる場合は、配偶者への財産配分を増やすことで、1次相続(親の相続)の税負担を大幅に減らせます。ただし2次相続(配偶者が亡くなるとき)の際に子への税負担が増える可能性もあるため、2次相続も含めた試算が重要です。

貸家建付地による評価減

土地に賃貸アパートや貸家を建てている場合、「貸家建付地」として自用地評価額から20%前後評価が下がります。

貸家建付地評価額 = 自用地評価額 × (1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

借地権割合は地域によって異なります(東京都内の住宅地は70〜80%が多い)。借家権割合は全国一律30%です。賃貸割合は空室がない場合100%になります。

例: 自用地評価額6,000万円、借地権割合70%、借家権割合30%、賃貸割合100%の場合 評価額 = 6,000万円 × (1 − 0.70 × 0.30 × 1.00) = 6,000万円 × 0.79 = 4,740万円

賃貸経営の相続税評価圧縮効果については相続した土地の活用方法と判断軸でも解説しています。

相続税の申告と納付期限

相続税の申告と納付は、相続を知った日の翌日から10ヶ月以内に行います。期限を過ぎると延滞税・加算税が発生するため注意が必要です。

手続き期限
相続税の申告相続を知った日の翌日から10ヶ月以内
相続税の納付同上(申告と同時が原則)
相続登記相続を知った日から3年以内(義務化)
相続税の取得費加算特例の対象期間相続開始から3年10ヶ月以内に売却

不動産が相続財産の多くを占める場合、現金が不足して相続税を納めにくいケースがあります。そのような場合は「延納(分割払い)」や「物納(不動産で納める)」の制度を利用できますが、要件が厳しく手続きも複雑なため、税理士への相談を早めに行うことをお勧めします。

相続後に不動産を売却して納税資金を確保する方法もあります。「相続税の取得費加算の特例」を使えば、相続開始から3年10ヶ月以内の売却で支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得税を圧縮できます。売却時の税金の計算方法は相続した土地の売却税金で詳しく解説しています。

不動産の相続手続き(相続登記の流れや必要書類)については不動産の相続手続きを自分でする方法で整理しています。また相続した土地をどのように活用するかの判断軸は相続した土地の活用方法と判断軸、活用の相談先の選び方は土地活用の相談先と選び方でそれぞれ確認できます。

土地活用は、立地や面積によって最適な方法が変わります。土地活用の無料一括相談で複数社のプランを比較すると、収益性とリスクのバランスが見えやすくなります。
相続税がかかるかどうかを簡単に確認する方法は?

まず基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を計算し、全財産の評価額合計と比較します。合計が基礎控除を下回れば相続税は発生しません。不動産については路線価(国税庁のウェブサイトで検索可能)を使って概算評価額を計算できます。ただし補正率や特例の適用可否は個別事情によって変わるため、基礎控除を超えそうな場合は税理士への相談を推奨します。

小規模宅地等の特例は、申告しないと適用されませんか?

小規模宅地等の特例は、相続税の申告書に適用を受ける旨の記載が必要で、申告なしには適用されません。たとえ評価額が基礎控除以下になったとしても、特例を適用する場合は必ず申告書を提出する必要があります。申告期限(相続を知った日から10ヶ月)を過ぎると特例の適用が認められなくなる場合があるため、早めに手続きを開始することが重要です。

路線価が毎年変わると相続税評価額も変わりますか?

路線価は毎年1月1日時点の価格をもとに更新されます。相続税評価額の計算に使う路線価は「相続が発生した年」の路線価です。亡くなった方が1月1日以降12月31日までに亡くなった場合、その年の路線価(7月初旬に公表)で計算します。2020年以降は地価上昇エリアで路線価が上昇傾向にあり、評価額が増えているケースも多くなっています。

相続税を自分で計算・申告することはできますか?

財産が少なく相続人間の争いがなければ、自分で計算・申告することは可能です。国税庁は申告書のひな形や計算シートを公開しており、「e-Tax」を使えばオンラインでも申告できます。ただし小規模宅地等の特例の適用、複数の不動産評価、2次相続の影響など、判断が難しい要素が重なる場合は税理士に依頼する方が確実です。税理士報酬は相続財産の総額や申告の複雑さによって異なりますが、1回の申告で15万〜50万円程度が目安です。

まとめ

不動産の相続税計算は、評価額の算出・基礎控除の確認・特例の適用という順番で進めます。自宅を相続する場合は小規模宅地等の特例(330㎡まで80%減額)の適用条件を確認することが最重要です。配偶者の税額軽減と組み合わせると、多くの家庭では相続税がゼロまたは大幅に減額になります。

相続税の申告期限は「相続を知った日から10ヶ月」です。不動産の評価や特例の判定は専門的な判断が必要なケースが多いため、評価額の合計が基礎控除に近い場合や特例の適用を検討する場合は、早めに税理士へ相談することを推奨します。

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