執筆: 家づくりナビ編集部
編集・確認: 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ (最終確認: )
注文住宅のつなぎ融資とは?仕組み・金利・不要にする方法を解説
注文住宅を建てるとき、土地の購入代金や着工金、中間金など、住宅ローンの実行前に数百万円から数千万円単位の支払いが発生します。住宅ローンは建物が完成して引き渡しを受けるタイミングで実行されるため、それまでの期間に必要な資金をどう用意するかが問題になります。
ここで登場するのが「つなぎ融資」です。注文住宅のつなぎ融資は、住宅ローン実行までの間に必要な資金を一時的に借りる仕組みで、注文住宅を建てる方の多くが利用を検討するこになります。ただし金利は住宅ローンより高く、手数料もかかるため、仕組みと費用をきちんと理解したうえで利用の要否を判断する必要があります。
注文住宅の支払いタイミング
つなぎ融資の仕組みを理解するには、注文住宅の支払いスケジュールを先に整理しておく必要があります。支払いの全体像は注文住宅の支払いスケジュールと資金準備のポイントで詳しく解説していますが、ここでは概要を押さえます。
注文住宅では、建物の完成・引き渡しまでに複数回の支払いが発生します。
| 支払いタイミング | 支払い先 | 金額目安 |
|---|---|---|
| 土地の売買契約時(手付金) | 売主 | 土地代の5〜10% |
| 土地の決済時(残金) | 売主 | 土地代の残額 |
| 建物の請負契約時(契約金) | ハウスメーカー / 工務店 | 建物代の10%前後 |
| 着工時(着工金) | ハウスメーカー / 工務店 | 建物代の30%前後 |
| 上棟時(中間金) | ハウスメーカー / 工務店 | 建物代の30%前後 |
| 引き渡し時(最終金) | ハウスメーカー / 工務店 | 建物代の残額 |
住宅ローンの融資が実行されるのは最後の「引き渡し時」です。つまり、土地の残金・着工金・中間金の支払い時点では住宅ローンのお金はまだ手元に届いていません。この差を埋めるのがつなぎ融資の役割です。
つなぎ融資の仕組み
つなぎ融資は、住宅ローンを借りる金融機関(またはつなぎ融資専門の金融機関)から、住宅ローン実行前に必要な資金を一時的に借り入れる制度です。
基本的な流れを整理します。
- 住宅ローンの事前審査・本審査を通過する
- つなぎ融資を申し込む(住宅ローンと同じ金融機関か、別の金融機関)
- 土地の残金支払い時に、つなぎ融資の1回目が実行される
- 着工金、中間金の支払い時にも同様にそれぞれ実行される
- 建物が完成し、住宅ローンの融資が実行される
- 住宅ローンの実行金でつなぎ融資を一括返済する
つまり、つなぎ融資は住宅ローン実行日に全額が清算される「短期の借入れ」です。借入期間は通常6か月から1年程度で、住宅ローンの返済が始まるまでの間は「つなぎ融資の利息」だけを支払う形になります。
つなぎ融資と住宅ローンの関係
つなぎ融資はあくまで一時的な借入れであり、住宅ローンとは別の契約です。住宅ローンの審査に通っていることが前提条件になるため、住宅ローンの事前審査を先に進めておく必要があります。住宅ローンの事前審査については住宅ローンの事前審査の流れと通過のポイントで解説しています。
つなぎ融資の金利と費用
つなぎ融資は住宅ローンより金利が高めに設定されています。
金利の目安
| 金融機関タイプ | つなぎ融資の金利目安 |
|---|---|
| メガバンク・地銀 | 年2.0〜3.5%程度 |
| ネット銀行(取扱いあり) | 年2.5〜4.0%程度 |
| フラット35提携(ARUHI等) | 年2.5〜3.5%程度 |
住宅ローンの金利が変動0.3〜0.6%、固定1.0〜2.0%程度であることと比べると、つなぎ融資の金利は明らかに高い水準です。ただし借入期間が6か月〜1年程度と短いため、利息の絶対額は住宅ローン本体に比べれば小さくなります。
費用のシミュレーション
モデルケースで利息を試算してみます。
前提条件:
- 土地代: 1,500万円(つなぎ融資で全額借入)
- 着工金: 600万円
- 中間金: 600万円
- つなぎ融資の金利: 年3.0%
- 土地決済から引き渡しまで: 10か月
| 借入分 | 金額 | 借入期間 | 利息(概算) |
|---|---|---|---|
| 土地残金 | 1,500万円 | 10か月 | 約37.5万円 |
| 着工金 | 600万円 | 6か月 | 約9万円 |
| 中間金 | 600万円 | 3か月 | 約4.5万円 |
| 利息合計 | 約51万円 |
これに加えて、事務手数料(10万円前後)、印紙代(各契約ごと)、振込手数料などが発生します。つなぎ融資だけで60万円前後のコストがかかる計算です。
この金額は住宅全体の予算からすれば小さく見えますが、諸費用として確実に上乗せされるため、資金計画に組み込んでおく必要があります。注文住宅の諸費用全体を把握したい場合は注文住宅の諸費用の内訳と総額目安も参考にしてください。
つなぎ融資が不要になる3つの方法
つなぎ融資のコストを避けたい場合、いくつかの方法があります。
1. 分割融資(分割実行)に対応した住宅ローンを選ぶ
一部の金融機関では、住宅ローンを「土地決済時」「着工時」「上棟時」「引き渡し時」など複数回に分けて実行する「分割融資」に対応しています。
分割融資の場合、住宅ローン本体の金利(変動0.3〜0.6%など)で借りられるため、つなぎ融資の高い金利を回避できます。
ただし分割融資にはデメリットもあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| つなぎ融資の金利・手数料が不要 | 抵当権設定が複数回必要で登記費用が増える |
| 住宅ローン金利で全期間を通せる | 対応している金融機関が限られる |
| 手続きがシンプルになるケースもある | 融資実行のたびに審査書類が必要になる場合がある |
分割融資に対応する金融機関は地方銀行や信用金庫に多く、メガバンクやネット銀行では扱いがないケースがあります。住宅ローンの選び方を検討中の方は住宅ローンの組み方と比較のポイントも参考にしてください。
2. 土地先行融資を利用する
土地の購入資金のみを先行して住宅ローンとして借り入れ、建物分は建物完成後に追加で住宅ローンを組む方法です。土地先行融資の金利は住宅ローン金利に近い水準で借りられるため、土地代分のつなぎ融資を避けられます。
ただし、土地に抵当権を設定する必要があるため、登記費用が追加で発生します。また建物分の住宅ローンは別途審査が必要になるケースがほとんどです。
3. 自己資金で中間支払いをカバーする
手元に十分な預貯金がある場合、土地代や着工金・中間金を自己資金で支払い、引き渡し時の住宅ローン実行金で回収する方法もあります。つなぎ融資の利息と手数料をまるごと節約できますが、一時的に数千万円の資金が拘束されるため、生活防衛資金まで取り崩すのはリスクがあります。
手付金だけを自己資金で払い、残りはつなぎ融資を使うのがバランスの取れた方法です。頭金の考え方については、住宅ローンの頭金に関する記事も参考になります。
つなぎ融資の利息を抑える3つの方法
つなぎ融資を利用する場合でも、コストを下げる方法はあります。
1. 工期を短くする
つなぎ融資の利息は「借入額 x 金利 x 日数 / 365」で計算されるため、工期が短いほど利息は少なくなります。工務店やハウスメーカーに施工スケジュールを確認し、引き渡し日の見通しを立てたうえで資金計画を組むことが重要です。
ただし工期を短くするために無理なスケジュールを要求すると、施工品質に影響する可能性もあるため、現実的な範囲で検討してください。
2. 着工金・中間金の支払い割合を交渉する
ハウスメーカーや工務店によっては、着工金・中間金の割合を調整できる場合があります。たとえば「着工30% / 中間30% / 引き渡し40%」ではなく「着工10% / 中間10% / 引き渡し80%」にできれば、つなぎ融資で借りる金額が減り、利息も下がります。
大手ハウスメーカーでは支払い割合が固定されていることが多いですが、中小の工務店では相談に応じてもらえるケースがあります。
3. つなぎ融資の金利が低い金融機関を選ぶ
つなぎ融資の金利は金融機関によって1%以上の差があります。住宅ローン本体の金利だけで金融機関を選ぶのではなく、つなぎ融資の金利と手数料を含めた総コストで比較する視点が必要です。
フラット35を利用する場合は、取り扱い金融機関(ARUHI、住信SBIネット銀行など)ごとにつなぎ融資の条件が異なるため、比較検討する価値があります。
つなぎ融資を使う場合の手続きの流れ
つなぎ融資の手続きは、住宅ローンの申込みと並行して進めるのが一般的です。
| 時期 | 手続き |
|---|---|
| 土地探し・ハウスメーカー選定 | 住宅ローンの事前審査を申し込む |
| 土地の売買契約 | つなぎ融資の申込みを開始 |
| 住宅ローンの本審査 | つなぎ融資の審査も同時進行 |
| 土地決済 | つなぎ融資の1回目実行(土地残金の支払い) |
| 建物請負契約・着工 | つなぎ融資の2回目実行(着工金の支払い) |
| 上棟 | つなぎ融資の3回目実行(中間金の支払い) |
| 建物完成・引き渡し | 住宅ローン実行 → つなぎ融資を一括返済 |
つなぎ融資の回数(1回〜3回)は金融機関によって上限が決まっています。また、各回の実行までに必要な書類(土地の売買契約書、建物の請負契約書、工程表など)を事前に準備しておかないと、支払い期日に間に合わないリスクがあります。
つなぎ融資の注意点
住宅ローン控除の適用タイミング
つなぎ融資の利息は住宅ローン控除の対象にはなりません。住宅ローン控除は、住宅ローン本体の借入金の年末残高に対して適用されるため、つなぎ融資期間中に支払った利息は控除の恩恵を受けられない点に注意が必要です。
金利変動リスク
つなぎ融資の金利は固定が一般的ですが、住宅ローン本体の金利は融資実行時の金利が適用されます。つなぎ融資の申込み時と住宅ローンの実行時で金利環境が変わっている場合、当初の返済計画と異なる可能性があります。金利上昇リスクへの備えは住宅ローン金利上昇への対策で解説しています。
建物完成が遅れた場合
工期の遅延により住宅ローンの実行が延びると、つなぎ融資の借入期間が延長され、利息が増えます。悪天候、資材不足、施工ミスなどで工期が1〜2か月延びることは珍しくないため、利息の計算には余裕を持たせておく必要があります。
つなぎ融資の借入可能期間は金融機関ごとに上限(6か月、1年、2年など)が設定されており、上限を超えると延長手続きや追加手数料が発生することがあります。
フラット35とつなぎ融資
フラット35は建物完成後の一括融資が基本のため、つなぎ融資の利用頻度が高い住宅ローンです。フラット35自体にはつなぎ融資の仕組みがなく、取扱金融機関が独自に提供するつなぎ融資を併用する形になります。
ARUHI、住信SBIネット銀行、楽天銀行など主要な取扱金融機関はつなぎ融資を用意していますが、金利・手数料・融資回数の上限はそれぞれ異なります。フラット35を検討している場合は、住宅ローン本体の金利だけでなく、つなぎ融資の条件も含めて総合的に比較する必要があります。
よくある質問
つなぎ融資は必ず必要ですか。
建売住宅やマンションのように完成物件を購入する場合は不要です。注文住宅でも、分割融資に対応した住宅ローンを選ぶか、自己資金で中間支払いをカバーできる場合は不要になります。土地から購入して注文住宅を建てる場合に必要になるケースが多い仕組みです。
つなぎ融資の審査は住宅ローンとは別ですか。
多くの金融機関では、住宅ローンの審査に通っていることがつなぎ融資の前提条件になります。別途の審査書類が必要になることはありますが、住宅ローンの審査を通過していれば、つなぎ融資の審査で落ちることは少ないのが一般的です。ただし金融機関によっては土地の担保評価を別途行うケースもあります。
つなぎ融資の利息はいつ支払いますか。
金融機関により異なりますが、毎月の利息支払い(元金は据え置き)か、住宅ローン実行時に元金と一緒に一括精算するかの2パターンが主流です。毎月払いの場合は家賃との二重負担になるため、返済計画に組み込んでおく必要があります。一括精算の場合は月々の負担はありませんが、住宅ローン実行時の精算額が大きくなります。
資金計画はハウスメーカー選びと同時に進める
つなぎ融資の要否や金額は、ハウスメーカー・工務店の支払い条件と、住宅ローンを借りる金融機関の商品設計で決まります。どちらか一方だけ先に決めると、組み合わせの最適化ができません。
土地探し・ハウスメーカー選定・住宅ローン選びを並行して進め、つなぎ融資も含めた総コストで比較することが、注文住宅の資金計画の基本です。