執筆: 家づくりナビ編集部
編集・確認: 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ (最終確認: )
東京都の太陽光・蓄電池補助金まとめ|2026年版・23区別ガイド
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東京都で戸建てに太陽光発電や蓄電池を導入する場合、国・東京都・お住まいの区の3階層の補助金を組み合わせられます。令和8年度(2026年度)は東京都の家庭向け再エネ補助予算が約1,012億円と前年度から310億円積み増され、太陽光・蓄電池に対する支援は全国でも突出した水準が続いています(出典: 東京都環境局 家庭部門の脱炭素化)。
一方で、区独自の補助金は区によって有無も金額も大きく異なります。令和8年度は太陽光への区独自補助を出す区が18区ある一方、世田谷区・大田区・渋谷区・板橋区・江戸川区の5区は区独自の太陽光設備補助を実施していません。自分の住む区がどちら側かを知らないまま見積もりを進めると、受け取れる補助額の見立てを誤ります。
この記事では、2026年度に東京の戸建てで使える太陽光・蓄電池補助金を、国・都・23区の3階層で整理しました。各区の補助額と申請順序、併用したときの実質負担額の考え方、そして申請で失敗しないための注意点まで、すべて各自治体の公式情報をもとにまとめています。
結論:東京で太陽光・蓄電池を導入するといくらもらえる
先に金額の目安をまとめます。東京の戸建てでは、国・東京都・区の補助を併用することで、太陽光と蓄電池のセット導入時に制度上は合計100万円を超える補助枠が用意されているケースもあります。ただし、補助金は「設置にかかった費用(対象経費)」を上限とし、複数制度の合計が対象経費を超えた分は減額される点に注意しましょう。表面的な単価を足し算した最大値ではなく、実際の設置費用の範囲内で受け取れる金額だと押さえておいてください。
太陽光単体の補助額の目安
太陽光発電を単体で導入する場合、補助の中心は東京都の制度です。東京都は既存戸建てへの新規設置に対して1kWあたり12万〜15万円、上限45万円を補助します(出典: クール・ネット東京 断熱・太陽光住宅普及拡大事業)。これに区独自の補助が上乗せされる区では、たとえば5kWの設置で都の上限45万円に加えて区から十数万円〜30万円程度が加算されます。
蓄電池単体の補助額の目安
蓄電池は東京都が1kWhあたり10万円、上限120万円を補助します。さらにDR(デマンドレスポンス)実証への参加で一律10万円が上乗せされます(出典: クール・ネット東京 断熱・太陽光住宅普及拡大事業)。国の「DR家庭用蓄電池事業」も1kWhあたり3.45万円(最大3.75万円)、上限60万円を補助しており、都の蓄電池補助と併用できます(出典: SII DR家庭用蓄電池事業)。
セット導入の最大ケース
太陽光と蓄電池を同時に導入すると、補助枠は最も大きくなります。たとえば江東区では、太陽光と蓄電池を同時申請すると区の補助単価が太陽光6万円/kW(上限24万円)、蓄電池2.5万円/kWh(上限20万円)に増額され、区単独で最大44万円になります(出典: 江東区 地球温暖化防止設備導入助成事業)。ここに東京都の太陽光(上限45万円)・蓄電池(上限120万円+DR10万円)と国のDR蓄電池事業(上限60万円)が重なります。
繰り返しになりますが、これらは制度ごとの上限額であり、実際の受給額は設置費用の範囲内です。セット導入の本当のメリットは「上限の単純合計」ではなく、太陽光で作った電気を蓄電池に貯めて自家消費率を高め、補助で初期費用を圧縮しながら長期の電気代削減につなげられる点にあります。
東京の太陽光・蓄電池補助金の全体像(国・都・区の3階層)
東京の戸建てが使える補助金は、国・東京都・区市町村の3階層で成り立っています。それぞれ財源も窓口も別で、原則として重ねて使えます。
| 階層 | 主な制度 | 太陽光 | 蓄電池 |
|---|---|---|---|
| 国 | DR家庭用蓄電池事業 / 住宅省エネ2026キャンペーン | 直接補助は限定的 | 1kWhあたり3.45万円〜・上限60万円 |
| 東京都 | 断熱・太陽光住宅普及拡大事業 | 1kWあたり12万〜15万円・上限45万円 | 1kWhあたり10万円・上限120万円(DR参加で+10万円) |
| 区市町村 | 各区独自の助成制度 | 区により0〜10万円/kW程度 | 区により0〜上限30万円程度 |
3階層の補助金は併用できる
国・東京都・区の補助は、原則として併用できます。東京都の制度は「国・区市町村との併給は可能」と明記しており、国のDR家庭用蓄電池事業も東京都・区市町村との併用を認めています(出典: クール・ネット東京、SII DR家庭用蓄電池事業)。
ただし併用には2つの注意点があります。1つは、複数制度の補助合計が設置費用(対象経費)を超えた場合、超過分が減額されること。もう1つは、同じ東京都内で性格の重複する別の都補助金とは重複受給できない場合があることです。区によっては「合計額が対象経費を超えると区の補助を減額する」と定めているため、見積もり段階で施工業者に併用後の受給見込みを確認しておくと確実です。
国の補助金(DR家庭用蓄電池事業・住宅省エネ2026キャンペーン)
DR家庭用蓄電池事業
国の蓄電池補助の中心が、環境共創イニシアチブ(SII)が運用する「DR家庭用蓄電池事業」です。補助額は1kWhあたり3.45万円が基本で、国が定める評価項目を満たすと最大3.75万円/kWhまで上乗せされ、上限は60万円です(出典: SII DR家庭用蓄電池事業)。
この制度には2つの重要な条件があります。1つは、DR(デマンドレスポンス、電力需給がひっ迫したときに蓄電池からの放電などで需要を調整する取り組み)の実証への参加が必須であること。もう1つは、蓄電池の価格が1kWhあたり12.5万円(税込)を1円でも超えると申請が受理されないことです。価格上限を超える高額な蓄電池は対象外になるため、見積もりの単価を必ず確認してください。
2026年5月末時点で予算の残額は約1.63億円まで減っています。予算上限に達し次第終了するため、利用を検討している場合は早めの申請が前提になります。
住宅省エネ2026キャンペーン(みらいエコ住宅2026ほか)
太陽光・蓄電池そのものへの直接補助ではありませんが、断熱改修や高効率給湯器などとあわせて住宅全体の省エネ化を進める場合は、国の「住宅省エネ2026キャンペーン」が使えます。みらいエコ住宅2026事業、先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業の3事業で構成され、いずれも登録事業者を通じた工事着工前の申請が必要です(出典: 住宅省エネ2026キャンペーン公式)。国の住宅補助金の全体像は住宅補助金2026年一覧で整理しています。
東京都の補助金(断熱・太陽光住宅普及拡大事業)
東京の太陽光・蓄電池補助の主役が、東京都(クール・ネット東京)の「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」です。
太陽光発電への補助
既存戸建てへの太陽光の新規設置に対し、1kWあたり12万〜15万円、上限45万円を補助します。単価は設置容量によって段階的に変わります(出典: クール・ネット東京 断熱・太陽光住宅普及拡大事業)。
蓄電池への補助
蓄電池は1kWhあたり10万円、上限120万円を補助します。さらにDR実証に参加すると一律10万円が上乗せされます。蓄電池単体の補助としては全国でも最大級の水準です。
申請の流れ
東京都の制度は「事前申込 → 受付通知 → 工事着手 → 工事完了後に交付申請兼実績報告」という順序です。工事に着手する前に事前申込が必要で、工事を始めてからでは申請できない点に注意してください。令和8年度の受付開始は5月下旬〜6月末ごろの予定です(具体的な開始日は公式ページで確認してください)。
23区別の太陽光・蓄電池補助金一覧(令和8年度)
ここからが東京特有のポイントです。区独自の補助は、区によって有無も金額も申請方法も異なります。まず全23区の太陽光に対する区独自補助の状況を一覧にします。
| 区 | 区独自の太陽光補助 | 太陽光の補助単価・上限 | 申請順序 |
|---|---|---|---|
| 千代田区 | あり | 対象経費の20%・住宅合算上限100万円 | 事前申込必須 |
| 中央区 | あり | 10万円/kW・上限35万円 | 事前申込必須 |
| 港区 | あり | 10万円/kW・上限40万円 | 事前申込必須 |
| 新宿区 | あり | 10万円/kW・上限30万円 | 事後申請 |
| 文京区 | あり | 7万円/kW・上限35万円 | 事後申請 |
| 台東区 | あり | 5万円/kW・上限20万円 | 事前申込必須 |
| 墨田区 | あり | 5万円/kW・上限20万円 | 事前申込必須 |
| 江東区 | あり | 5万円/kW・上限20万円(蓄電池とセットで6万円/kW・上限24万円) | 事前申込必須 |
| 品川区 | あり | 5万円/kW・上限20万円 | 事後申請 |
| 目黒区 | あり | 3万円/kW・上限15万円 | 事後申請 |
| 大田区 | なし | 区独自補助なし(都・国制度を活用) | — |
| 世田谷区 | なし | 令和8年度より対象外 | — |
| 渋谷区 | なし | 区独自の設備補助なし | — |
| 中野区 | あり | 定額15万円 | 事後申請 |
| 杉並区 | あり | 4万円/kW・上限12万円 | 事後申請 |
| 豊島区 | あり | 2万円/kW・上限8万円 | 事後申請 |
| 北区 | あり | 8万円/kW・上限20万円(区内業者で9.6万円/kW・上限24万円) | 事前申込必須 |
| 荒川区 | あり | 2万円/kW・上限25万〜30万円 | 事後申請 |
| 板橋区 | なし | 区独自補助なし(令和2年度で終了) | — |
| 練馬区 | あり | 定額8万円 | 事後申請 |
| 足立区 | あり | 6万円/kW・上限24万円(区内業者で7.2万円/kW・上限28.8万円) | 事後申請 |
| 葛飾区 | あり | 6万円/kW・上限30万円 | 事前申込必須 |
| 江戸川区 | なし | 単独補助は令和7年度で終了 | — |
区独自補助が出ない5区はどうすればいい
大田区・世田谷区・渋谷区・板橋区・江戸川区の5区は、令和8年度に区独自の太陽光設備補助を実施していません。背景は区によって異なります。
世田谷区は令和8年度から太陽光発電を補助対象外とし、対象を窓の断熱改修・高断熱ドア・高断熱浴槽・屋根の高反射改修の4工事に絞りました(出典: 世田谷区エコ住宅補助金)。板橋区の区独自補助は令和2年度で終了しています。江戸川区は太陽光・定置型蓄電池の単独補助を令和7年度で終了し、現在は再生可能エネルギー100%電力への切り替えに2万円を上乗せする形に変わりました(出典: 江戸川区)。渋谷区はもともと設備への直接補助はなく、再エネ電力への切り替えにポイントを交付する制度のみです。大田区も区独自の太陽光補助は設けていません。
これらの区にお住まいでも、東京都の補助(太陽光12万〜15万円/kW・上限45万円、蓄電池10万円/kWh・上限120万円)と国のDR家庭用蓄電池事業は問題なく使えます。区の上乗せがない分、都と国の制度を最大限活用するのが基本方針になります。
戸建てが多い区の補助を詳しく見る
戸建ての持ち家比率が高く、太陽光・蓄電池の導入余地が大きい区について、もう少し詳しく見ていきます。
足立区は令和8年度から太陽光・蓄電池を統合した制度になりました。太陽光は1kWあたり6万円・上限24万円(区内事業者の施工なら7.2万円/kW・上限28.8万円に増額)で、設置完了後に申請する事後申請です。4期制で各期の予算に達し次第終了するため、申請時期の見極めが必要です(出典: 足立区 太陽光発電システム及び蓄電池設置費補助金)。
葛飾区は1kWあたり6万円・上限30万円で、23区のなかでも上限額は手厚い部類です。ただし工事着工の4週間前までに事前協議の申込が必要で、回答が届くまで3〜4週間かかります(出典: かつしかエコ助成金)。スケジュールに余裕を持った計画が前提です。
品川区は1kWあたり5万円・上限20万円(個人住宅の場合)で、設置完了後の事後申請です。予定件数に達した日の申請は抽選になります(出典: しながわゼロカーボンアクション助成)。目黒区は1kWあたり3万円・上限15万円で、既存住宅のみが対象、受付は2026年6月1日からの先着順です(出典: 目黒区)。
多摩地域・市町村別の太陽光・蓄電池補助金
23区以外の多摩地域でも、市によって独自補助の有無が分かれます。戸建て世帯の多い主要市の状況を一覧にします。
| 市 | 市独自の太陽光補助 | 太陽光の補助単価・上限 | 蓄電池 | 申請順序 |
|---|---|---|---|---|
| 八王子市 | あり | 1万円/kW・上限10万円 | 一律3万円(太陽光と同時) | 事前申込必須 |
| 立川市 | なし | 区独自補助なし(都・国を活用) | なし | — |
| 武蔵野市 | あり | 3万円/kW・上限15万円(5kWまで) | なし | 事後申請 |
| 三鷹市 | あり | 1万円/kW・上限10万円 | 定額5万円(太陽光必須) | 事後申請 |
| 府中市 | あり | 2万円/kW・上限10万円 | 2万円/kWh・上限10万円 | 事後申請 |
| 調布市 | あり | 2万円/kW・上限10万円 | 定額5万円 | 事後申請 |
| 町田市 | なし | 2016年度で終了 | なし | — |
| 小金井市 | あり | 3万円/kW・上限10万円 | 定額4万円 | 事後申請 |
| 日野市 | なし | 市独自補助なし | なし | — |
| 国分寺市 | あり | 3万円/kW・上限15万円 | 定額6万円 | 事後申請(2期制) |
| 多摩市 | あり | 3万円/kW・上限15万円(既存・市内業者) | 補助率1/4・上限6万円 | 事前申込必須 |
| 西東京市 | なし | 市独自補助なし | なし | — |
多摩地域は市独自補助が23区より小ぶりな傾向で、町田市・立川市・日野市・西東京市のように市独自補助を設けていない市もあります。一方で武蔵野市・国分寺市・多摩市は3万円/kW・上限15万円と、多摩のなかでは手厚い水準です。申請方式は市によって分かれるため、八王子市と多摩市は工事着工前の事前申込が必須、ほかの市は設置後の事後申請と覚えておきましょう。市独自補助の有無にかかわらず、東京都の太陽光(上限45万円)・蓄電池(上限120万円)補助は多摩地域でも同じように使えます。
太陽光・蓄電池の補助金シミュレーション(概算)
国・都・区を併用したときの補助額の目安を、具体的な条件で見てみます。ここで示すのは制度ごとの上限を前提とした概算で、実際の受給額は設置費用や審査により変動します。
ケース1:江東区で太陽光5kW+蓄電池8kWhをセット導入
江東区在住で、既存戸建てに太陽光5kWと蓄電池8kWhを同時導入し、DR実証にも参加する場合の補助の内訳です。
| 制度 | 太陽光5kW分 | 蓄電池8kWh分 |
|---|---|---|
| 東京都 | 上限45万円 | 80万円(10万円/kWh×8)+DR上乗せ10万円 |
| 国(DR家庭用蓄電池事業) | — | 27.6万円(3.45万円/kWh×8) |
| 江東区(セット申請) | 24万円(上限) | 20万円(上限) |
制度上の補助枠を合計すると太陽光側で約69万円、蓄電池側で約137万円という大きな数字になりますが、前述のとおり実際の受給額は設置費用が上限です。8kWh級の家庭用蓄電池の設置費用はおおむね150万〜250万円程度、5kWの太陽光は100万〜150万円程度が目安で、補助を併用することで初期費用の多くをまかなえる計算になります。
ケース2:区独自補助のない区(例:大田区)で太陽光5kW
区の上乗せがない区でも、東京都の補助は使えます。太陽光5kWなら東京都の上限45万円が中心になり、蓄電池を加えれば国のDR家庭用蓄電池事業と東京都の蓄電池補助が上乗せされます。区補助の有無が太陽光単体で十数万円〜30万円程度の差になりますが、補助の主役はあくまで東京都の制度である点は23区共通です。
より詳しい条件別の試算(住宅ローンと組み合わせた実質負担額、10年後・20年後の回収シミュレーション)は、別途シミュレーションツールと解説記事を準備中です。
住宅ローン・リフォームローンと組み合わせた実質負担額
太陽光・蓄電池は、補助金で初期費用を圧縮したうえで、残りをローンで分割するケースが多くなっています。ここでは補助金とローンを組み合わせたときの月々の負担感を、前提を置いて試算します(金利・期間は契約や金融機関により変わるため、目安として読んでください)。
補助金は借入元本を直接減らせる
たとえば太陽光5kWと蓄電池8kWhのセット導入費用を約300万円と仮定します。ここに国・東京都・区の補助で仮に合計120万円が交付されれば、ローンで借りる元本は180万円まで圧縮できます。
| 項目 | 補助金なし | 補助金120万円活用後 |
|---|---|---|
| 設置費用 | 300万円 | 300万円 |
| 補助金 | 0円 | 120万円 |
| 借入元本 | 300万円 | 180万円 |
| 月々返済(金利2.5%・10年と仮定) | 約2.8万円 | 約1.7万円 |
借入元本が減ることで、月々の返済が同じ条件でも1万円前後軽くなる計算です。補助金は「現金が戻ってくる」だけでなく、ローンを組む場合は返済負担そのものを下げる効果があります。
新築なら住宅ローンに組み込む選択肢もある
新築や大規模リフォームのタイミングなら、太陽光・蓄電池の費用を住宅ローンに含める方法もあります。住宅ローンはリフォームローンより金利が低く期間も長いぶん、月々の上乗せはさらに小さく抑えられるでしょう。ただし住宅ローンに含めると、補助金の申請主体やスケジュールが住宅本体の工事と絡みます。設計段階から施工会社・金融機関と補助金の使い方を擦り合わせておきましょう。住宅本体とあわせた資金計画を複数社で比較したい場合は、注文住宅の一括資料請求で各社のプランと見積もりを取り寄せると判断材料が増えます。
10年後・20年後の回収シミュレーション
補助金で初期費用を抑えたあと、太陽光・蓄電池が長期でどれだけ元を取れるかは、売電収入と電気代削減の積み上げで決まります。ここでは考え方と試算の枠組みを示します(発電量・売電単価・電気料金は地域や年度で変わるため、最新の数値で再計算してください)。
回収額は「売電収入+電気代削減」で積み上がる
東京で太陽光5kWを設置した場合、年間の発電量はおおむね5,000〜5,500kWh程度が目安です。このうち自宅で使う分(自家消費)は、買わずに済む電気代がそのまま節約になります。電気を1kWhあたり30円で買っていると仮定すると、自家消費分はその単価で削減効果が出ます。余った電気を売る場合の売電単価は固定価格買取制度(FIT)で年度ごとに決まるため、最新の単価を資源エネルギー庁の公表値で確認してください。
蓄電池を併用すると、昼間に発電した電気を夜に回せるため自家消費率が上がり、電気代削減の効果が大きくなります。電気料金が高止まりするほど、自家消費の価値は上がります。
10〜15年後のパワコン交換費用を見込む
回収を考えるうえで見落としやすいのが、パワーコンディショナ(パワコン)の交換費用です。パワコンは10〜15年で寿命を迎えることが多く、交換に20万〜30万円程度かかります。20年スパンで考えるなら、この交換費用を回収計算に織り込んでおく必要があります。
売却時の住宅価値への影響
太陽光・蓄電池を備えた住宅は、省エネ性能の高さが評価され、売却・賃貸時の訴求材料になり得ます。一方で、設置から年数が経った設備は残価が下がるため、売却を見据えるなら設置時期と売却時期のバランスも考慮材料になります。単年の補助金額だけでなく、こうした長期の収支まで含めて判断すると、導入の意思決定がぶれにくくなります。
補助金の「実質還元率」で区を比べる
補助金は金額の絶対値だけを見ると判断を誤りやすくなります。たとえば区独自の補助が出る区と出ない区では、太陽光単体で十数万円〜30万円程度の差が生まれますが、設置費用全体に対する割合(実質還元率)で見ると、補助の主役はあくまで国と東京都の制度だとわかります。
ここでは太陽光5kWの設置費用を約120万円、蓄電池8kWhを約180万円、セット合計300万円と仮定して、国・都・区の補助でどこまで還元されるかを見てみます(費用は機種・施工で変わるため目安です)。
| 条件 | 補助の中心 | 還元率の目安(対設置費用) |
|---|---|---|
| 区補助が手厚い区(例:江東区セット導入) | 都+国+区 | おおむね3〜4割前後 |
| 区補助が中位の区(例:品川区・目黒区) | 都+国+区 | おおむね3割前後 |
| 区補助なしの区(例:大田区・世田谷区) | 都+国 | おおむね2〜3割前後 |
区補助の有無は還元率にして数ポイントの差で、土台は東京都の太陽光(上限45万円)・蓄電池(上限120万円+DR10万円)と国のDR家庭用蓄電池事業です。区補助がない区でも、都と国を使えば設置費用の2〜3割は還元される計算になります。区の上乗せは「あれば嬉しい差」と捉え、まず都・国の制度を確実に押さえるのが東京での基本戦略です。
補助金額の推移と次年度の見立て
補助金は年度ごとの制度で、金額も対象も毎年見直されます。判断材料として、近年の傾向を整理します。
東京都は拡大、区は縮小の傾向
東京都の家庭向け再エネ補助予算は、令和8年度に約1,012億円と前年度から310億円積み増されました(出典: 東京都環境局)。蓄電池の1kWhあたり10万円・上限120万円という水準も全国で突出しており、都の支援は拡大基調です。
一方、区の独自補助は縮小の動きが目立ちます。板橋区は令和2年度、町田市は2016年度に独自補助を終了し、江戸川区は令和7年度で太陽光・定置型蓄電池の単独補助を取りやめました。世田谷区は令和8年度から太陽光を補助対象外とし、窓・ドア・浴槽・屋根の断熱改修に対象を絞っています。都の制度が手厚くなるなかで、区が役割を都に譲る流れと読めます。
次年度以降をどう見るか
国のDR家庭用蓄電池事業は、蓄電池価格が1kWhあたり12.5万円を超えると対象外という価格上限を設けており、補助で価格そのものを下げる方向に設計されています。予算の消化も早く、年度途中で終了する制度が増えています。
確実なのは、補助金は「使えるうちに使う」のが有利だということです。都の予算規模は当面維持される可能性が高い一方、単価は段階的に下がる傾向があり、区補助は終了・縮小する区が今後も出ると見込まれます。導入を決めているなら、年度の早い時期に申請枠を押さえるのが堅実です(次年度の制度内容は各自治体の予算編成で決まるため、最新情報は公式で確認してください)。
申請の手順と期限
補助金の申請でつまずく最大の原因が、申請の順序を間違えることです。
事前申込が必須の区と事後申請の区がある
東京都の制度と、港区・千代田区・中央区・台東区・墨田区・江東区・北区・葛飾区などは、工事に着手する前の事前申込が必須です。これらの自治体では、工事を始めてしまうと申請できません。見積もり・契約の前に、補助金の事前申込から始める必要があります。
一方、新宿区・文京区・品川区・目黒区・中野区・豊島区・荒川区・足立区などは、設置・支払いが完了した後に申請する事後申請です。
国のDR家庭用蓄電池事業と東京都の制度はいずれも工事着工前の申請(事前申込)が前提です。区が事後申請でも、国や都が事前申込なら、結局は工事前の手続きが必要になります。「自分が使う制度のなかで最も早いタイミングの手続きはどれか」を起点にスケジュールを組んでください。
申請の時系列の流れ
事前申込が必要な制度を使う場合の一般的な流れは次のとおりです。
- 施工業者から見積もりを取り、使える補助金を確認する
- 国・都・区の事前申込を行う(複数制度を使う場合はそれぞれ)
- 受付通知・交付決定を受け取る
- 工事に着手・設置・支払いを完了する
- 工事完了後に実績報告・交付申請を提出する
- 審査後に補助金が交付される
受付期間と予算
令和8年度の受付は、東京都が5月下旬〜6月末ごろ開始予定、区の多くは4月〜5月に受付を開始しています。いずれの制度も予算上限に達し次第終了します。とくに足立区のように期ごとの予算枠が数日で埋まる区や、品川区のように到達日が抽選になる区があるため、検討を始めたら早めに動くのが基本です。
補助金で見逃しがちな注意点
太陽光・蓄電池の補助金で、申請者がつまずきやすいポイントを整理します。
工事の着工前申請を守る。最も多い失敗が、事前申込が必要な制度で工事を先に始めてしまうことです。契約・着工の前に補助金の手続きを済ませてください。
国のDR蓄電池は価格上限がある。DR家庭用蓄電池事業は、蓄電池の価格が1kWhあたり12.5万円(税込)を超えると申請が受理されません。高価格帯の機種は対象外になります。
区内業者の施工で増額される区がある。足立区・北区などは、区内の事業者が施工すると補助単価が上がります。業者選びが補助額に直結します。
既存住宅限定の区がある。目黒区・豊島区・北区などは既存住宅のみが対象で、新築は対象外です。新築で太陽光を載せる場合は、対象になる制度を別途確認してください。
予算枠の消化スピードに注意する。人気の制度は予算が早期に尽きます。受付開始日と残予算を確認し、書類を前倒しで準備しておきます。
併用時の減額ルールを確認する。国・都・区を併用しても、合計が設置費用を超えた分は受け取れません。施工業者に併用後の受給見込みを試算してもらうと確実です。
不正な勧誘・補助金詐欺を避ける。「補助金で実質無料」「今だけ」などと急がせ、相場より高い見積もりを通そうとする業者には注意が必要です。複数社から相見積もりを取り、補助金を差し引く前の本体価格が適正かを確認してください。
よくある質問
東京都の太陽光補助金はいくらもらえますか。 東京都は既存戸建てへの太陽光に1kWあたり12万〜15万円、上限45万円を補助します。これに区独自の補助が出る区では十数万円〜30万円程度が上乗せされます。
東京の蓄電池補助金は何年度まで使えますか。 令和8年度(2026年度)は東京都が蓄電池に1kWhあたり10万円・上限120万円を補助しています。年度ごとの制度で、予算上限に達し次第終了します。翌年度以降の継続は都の予算編成によります。
国の補助金と東京都・区の補助金は併用できますか。 原則として併用できます。国のDR家庭用蓄電池事業、東京都の制度、区の制度はそれぞれ別財源で、重ねて使えます。ただし合計が設置費用を超えた分は減額されます。
DR(デマンドレスポンス)に参加すると補助金はいくら上乗せされますか。 東京都の蓄電池補助でDR実証に参加すると一律10万円が上乗せされます。国のDR家庭用蓄電池事業はDR参加そのものが補助の前提条件です。
東京で太陽光補助金が一番手厚い区はどこですか。 太陽光単体の補助単価では、港区・新宿区・中央区が1kWあたり10万円と手厚く、上限額は港区40万円、中央区・文京区が35万円です。千代田区は対象経費の20%・住宅合算で上限100万円という別方式です。条件により有利な区は変わるため、自分の設置容量で試算することをおすすめします。
区の補助金がない区に住んでいますが、補助は受けられますか。 受けられます。大田区・世田谷区・渋谷区・板橋区・江戸川区は区独自の太陽光設備補助がありませんが、東京都の補助(上限45万円)と国のDR家庭用蓄電池事業は問題なく使えます。
太陽光補助金は中古住宅(既存住宅)でも使えますか。 使えます。東京都の太陽光補助はむしろ既存戸建てへの新規設置が対象です。区によっては既存住宅限定(目黒区・豊島区・北区など)の制度もあります。新築の場合は対象制度が変わるため確認してください。
太陽光と蓄電池はセットで導入したほうが得ですか。 補助の観点では、江東区のようにセット導入で単価が増額される区があります。それ以上に、太陽光で作った電気を蓄電池に貯めて自家消費率を高めることで、長期の電気代削減効果が大きくなります。
申請に必要な書類は何ですか。 一般的には、申請書、見積書または契約書、設置する機器の仕様がわかる書類、設置後は工事完了を示す写真や領収書が必要です。必要書類は制度ごとに異なるため、各自治体の公式案内で確認してください。
補助金の申請は自分でやる必要がありますか。 制度によります。国の住宅省エネ2026キャンペーンは登録事業者が申請を代行します。東京都や区の制度は、施工業者が申請をサポートしてくれるケースが多く、業者選びの段階で申請対応の可否を確認しておくと安心です。
一緒に検討したい関連情報
太陽光・蓄電池の導入は、住宅そのものの計画や他のリフォームとあわせて考えると判断しやすくなります。
注文住宅を検討中で太陽光も載せたい場合は、設計段階から省エネ性能と太陽光をセットで計画できます。住宅本体のプランと太陽光・補助金を一括で比較したい方は、複数のハウスメーカー・工務店から無料でプランを取り寄せて検討するのが効率的です。
国の住宅補助金の全体像は住宅補助金2026年一覧で、移住とあわせた支援は移住支援補助金で解説しています。