執筆: 家づくりナビ編集部
編集・確認: 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ (最終確認: )
外壁塗装と屋根塗装は同時がお得?セット費用と別々にやる場合の比較
外壁塗装と屋根塗装を同時に行うべきか、別々に施工するべきか。住宅のメンテナンスを検討し始めた方が最初に迷うポイントです。結論からいえば、外壁と屋根の塗装を同時に施工すると足場代が1回分で済み、30坪2階建て住宅で15万〜25万円の節約になります。ただし初期費用は一度にまとまるため、予算計画との兼ね合いが必要です。
この記事では、外壁塗装と屋根塗装の同時施工によるメリットとデメリットを費用面から比較し、セット価格の相場、別々に施工した場合との10年トータルコスト、同時施工に適したタイミングまでを整理します。
同時施工のメリット
足場代が1回分で済む
外壁塗装と屋根塗装のどちらも、2階以上の作業には足場の設置が必要です。足場の費用は30坪住宅で15万〜25万円が相場であり、工事費全体の15〜20%を占めます。外壁と屋根を別々の時期に施工すると、足場を2回組むことになり、この費用がまるまる重複します。
同時施工であれば足場の設置・撤去は1回で済むため、足場代1回分をそのまま削減できます。30坪住宅であれば15万〜25万円、大型住宅(40〜50坪)であれば20万〜35万円の差が出る計算です。
工期が短くなる
外壁のみの塗装で10〜14日、屋根のみで5〜7日が一般的な工期です。別々に施工すると合計15〜21日かかり、足場の設置・撤去がそれぞれに加わります。同時施工であれば合計14〜18日程度に収まり、足場の設置・撤去も1回ずつで完了します。
近隣への騒音や生活への影響を考えると、工事期間は短いほうが負担が軽くなります。特にメッシュシートで覆われる期間は窓を開けにくくなるため、同時施工で一気に終わらせるほうがストレスは少ないです。
色の統一感が出しやすい
外壁と屋根を同じ時期に塗り替えると、色の組み合わせを一体的に検討できます。別々の時期に施工すると、外壁の色は数年前に選んだもの、屋根はその後に選んだもの、という状態になり、色の相性を合わせにくくなります。特に外壁の色を明るいトーンに変えたいときに、屋根の色が古いまま残ると全体のバランスが崩れます。
外壁塗装の塗料比較では塗料の色持ちについても解説しているので、色選びの参考にしてください。
同時施工のデメリット
初期費用が大きくなる
外壁塗装と屋根塗装を合わせると、30坪住宅でも120万〜180万円の費用が一度にかかります。外壁のみであれば90万〜140万円なので、屋根分の30万〜50万円が上乗せになります。
住宅ローンの返済中に大きな出費を一度に捻出するのが難しい場合は、リフォームローンの利用を検討する選択肢もあります。金利は年2〜5%程度で、10年払いにすれば月々の負担は1万円台に抑えられるケースもあります。
塗料の耐久年数が揃わないと次回のタイミングがずれる
外壁にシリコン(耐用12〜15年)、屋根にウレタン(耐用8〜10年)のように異なるグレードの塗料を使うと、屋根のほうが先に劣化して再塗装が必要になります。せっかく同時施工で足場代を1回にしたのに、次回は屋根だけの工事で再び足場を組むことになれば、節約効果が薄れます。
同時施工の利点を最大化するには、外壁と屋根で耐久年数が近い塗料を選ぶことが重要です。
セット費用の相場(30坪の場合)
30坪2階建て住宅を前提に、外壁のみ・屋根のみ・同時施工の費用を塗料グレード別に整理します。
| 施工内容 | シリコン | フッ素 | 無機 |
|---|---|---|---|
| 外壁のみ | 90万〜120万円 | 110万〜140万円 | 130万〜160万円 |
| 屋根のみ | 35万〜50万円 | 45万〜60万円 | 55万〜70万円 |
| 別々施工の合計 | 125万〜170万円 | 155万〜200万円 | 185万〜230万円 |
| 同時施工 | 110万〜150万円 | 140万〜180万円 | 170万〜210万円 |
| 同時施工の差額(節約分) | 約15万〜20万円 | 約15万〜20万円 | 約15万〜20万円 |
差額の大半は足場代の重複分です。塗料グレードに関係なく、足場代1回分(15万〜25万円)が節約の中心であることがわかります。
外壁塗装の相場は30坪でいくら?では費用内訳をさらに詳しく解説しています。
別々施工との10年トータルコスト比較
外壁と屋根を同時に施工した場合と、別々のタイミングで施工した場合の10年間のトータルコストを比較します。前提条件は30坪2階建て、シリコン塗料使用、足場代20万円とします。
| パターン | 1回目 | 2回目 | 10年間の合計 |
|---|---|---|---|
| 同時施工(外壁+屋根) | 130万円(築10年目) | なし | 130万円 |
| 外壁先行 → 5年後に屋根 | 100万円(築10年目) | 55万円(築15年目) | 155万円 |
| 屋根先行 → 5年後に外壁 | 50万円(築8年目) | 110万円(築13年目) | 160万円 |
同時施工と別々施工の差額は25万〜30万円。足場を2回組む分に加え、養生・洗浄・現場管理の重複費用も加算されるため、別々施工のほうが割高になります。
長期的には差額がさらに広がります。30年間で外壁を2回、屋根を3回それぞれ別々に塗ると足場代だけで5回分(約100万円)。同時施工に統一すれば足場は2回分(約40万円)で済みます。
同時施工に適したタイミング
外壁と屋根を同時に塗装しやすいタイミングは、以下の条件が揃ったときです。
外壁に劣化サインが出始めたとき
チョーキング(外壁を手で触ると白い粉がつく現象)、シーリングのひび割れ、塗膜の色あせが確認できたら、外壁の塗り替え時期です。築10〜15年で発生するケースが多く、このタイミングで屋根の状態もあわせて点検すると、同時施工の検討がしやすくなります。
屋根材の劣化が外壁と同時期に進んでいるとき
スレート屋根のひび割れ、金属屋根の錆、塗膜の剥がれが確認できる場合は、屋根も塗り替え時期に達しています。外壁と屋根の劣化度合いに大きな差がない場合は、同時施工が最もコストパフォーマンスの高い選択です。
春または秋の施工シーズン
塗装は気温5度以上、湿度85%以下の条件で行うのが望ましいとされています。春(4〜5月)と秋(9〜11月)は天候が安定しやすく、乾燥時間も適正に確保できるため、工期の延びも少なくなります。夏場は気温が高く乾燥が早い反面、突然の夕立で工事が中断するリスクがあります。冬場は気温低下により塗料の乾燥が遅れるため、工期が延びやすいです。
外壁塗装の時期の目安では築年数と劣化サイン別の塗り替え判断基準を解説しています。
同時施工で注意すべきポイント
塗料のグレードを外壁と屋根で揃える
前述のとおり、耐用年数が異なる塗料を外壁と屋根に使うと、次回の塗り替えタイミングがずれます。外壁にシリコンを使うなら屋根もシリコン、フッ素を使うならフッ素で統一すると、次回も同時施工がしやすくなります。
屋根は外壁よりも紫外線や雨の影響を強く受けるため、外壁と同じグレードでも屋根のほうが先に劣化する傾向があります。屋根だけ1グレード上の塗料にするという選択もあります。
見積もりは「同時施工」と「別々施工」の両方を取る
業者に見積もりを依頼する際は、「外壁のみ」「屋根のみ」「外壁+屋根同時」の3パターンを出してもらうと比較が明確になります。同時施工の見積もりが「外壁のみ+屋根のみ」の単純合計と変わらない場合は、足場代が重複計上されていないか確認してください。
外壁塗装の相見積もりでは、複数の業者から見積もりを取る際のポイントを整理しています。
屋根の状態によっては塗装ではなくカバー工法や葺き替えが適切
屋根の劣化が進行している場合、塗装だけでは対処しきれないケースがあります。スレート屋根の反りやひび割れが広範囲に及ぶ場合は、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる「カバー工法」や、既存屋根を撤去して葺き替える工法のほうが長期的にはコスト合理性が高いことがあります。塗装の見積もりを取る際に屋根の状態を業者に診てもらい、塗装で対応可能かどうかの判断を仰いでください。
費用を抑えるための方法
複数の業者から見積もりを取って金額と施工内容を比較するのが、適正価格で施工するための最も確実な方法です。同じ条件で3社以上の見積もりを取ると、各社の費用構成の違いが見えてきます。
施工時期を業者の閑散期(梅雨前・冬季)に合わせると、割引を受けられるケースもあります。工期に余裕がある場合は「時期を問わないので安くなるタイミングで施工してほしい」と伝えてみるのも一つの方法です。
お住まいの自治体が省エネ改修や住宅の長寿命化に関する制度を設けている場合もあるため、自治体の窓口で確認してみてください。
外壁と屋根を同時に塗装するか迷う場合は、複数社の見積もり比較が適正価格判断のポイントです。足場の共用効果、劣化状況、塗料グレードを同じ条件で確認してください。
屋根塗装だけ先に済ませるのは損ですか。
屋根の劣化が外壁より先に進行している場合は、屋根だけ先に施工するのも合理的な判断です。ただし足場代が1回分余計にかかるため、外壁の塗り替え時期が2〜3年以内に来る見込みなら、外壁も前倒しして同時施工にするほうがトータルでは安くなります。
外壁と屋根で異なる業者に頼んでもよいですか。
同時施工する場合は同じ業者に一括で依頼するのが一般的です。別々の業者に頼むと足場の共有ができず、足場代の節約メリットがなくなります。それぞれの業者に強みがある場合でも、元請けとして一社にまとめて依頼し、屋根の施工は協力業者に入ってもらう形が多いです。
同時施工でも住みながら工事はできますか。
外壁と屋根の塗装は住みながら施工するのが一般的です。足場とメッシュシートで建物が覆われるため、窓を開けにくい、洗濯物を外に干せない、といった制約は出ますが、電気・水道・ガスは通常通り使えます。工期は2〜3週間程度で、雨天による延長がなければ日常生活に大きな支障はありません。