執筆: 家づくりナビ編集部
編集・確認: 株式会社ローカルマーケティングパートナーズ (最終確認: )
空き家リフォームの費用相場|規模別の目安・優先工事・補助金の使い方
空き家をリフォームして活用したいと考えたとき、最初にぶつかるのが費用感の見当のつかなさです。「100万円で済む」という話も「1,000万円かかった」という話も聞こえてきて、自分のケースがどこに当てはまるのか分かりません。
費用の振れ幅が大きい理由は、空き家の状態・築年数・リフォームの目的が案件ごとに異なるからです。国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」によると、中古住宅購入後にリフォームを行った世帯の平均リフォーム費用は503万円(戸建て)となっています。ただし空き家の場合は老朽化が進んでいるケースが多く、修繕の規模によって平均を大きく上回ることもあります。
この記事では、空き家リフォームの費用相場を活用目的・工事規模別に整理し、見積もりで差が出る要因と補助金の活用方法まで解説します。
空き家リフォームと通常リフォームの違い
一般的なリフォームは、居住中または直近まで使われていた住宅の部分改修が中心です。空き家リフォームでは、これに加えて長期間放置による「見えない劣化」への対処が必要になります。
空き家特有の追加コストが生じる要因
| 要因 | 内容 | 追加費用の目安 |
|---|---|---|
| シロアリ被害 | 木部の腐食・蟻道の有無。床下・浴室周辺に多い | 50万〜200万円(範囲による) |
| 雨漏り・腐食 | 屋根・外壁・軒先から始まり、構造体まで達することがある | 50万〜300万円(進行度による) |
| 配管の劣化 | 給排水管の錆・詰まり・水漏れ。築30年超で交換が必要なことが多い | 50万〜150万円 |
| 電気設備の更新 | 古いブレーカー・配線。現行の安全基準に合わせた更新が必要 | 20万〜80万円 |
| 残置物の撤去 | 家財・廃棄物の処分費。ゴミ屋敷状態なら大きく増額 | 10万〜100万円以上 |
空き家を購入・相続した場合、床下や壁内の状態は解体してみるまで正確に分からないことがあります。見積もりに「解体後に追加費用が生じる場合がある」という条件が付く場合はその内容を事前に確認してください。
活用目的別の費用相場
リフォームの費用は、どのように使うかによって必要な工事の内容と規模が変わります。
自己居住用(自分や家族が住む)
| リフォームの規模 | 費用の目安 | 主な工事内容 |
|---|---|---|
| 部分リフォーム(キッチン・浴室等の設備更新) | 100万〜300万円 | 設備交換、内装の一部更新 |
| 水廻り+内装フルリフォーム | 300万〜600万円 | キッチン・浴室・洗面・トイレ交換+壁床更新 |
| スケルトンリノベーション(全面改修) | 500万〜1,500万円 | 構造を残して内装・設備・断熱を全面更新 |
| 耐震改修+全面改修 | 700万〜2,000万円以上 | 耐震補強工事を含む大規模改修 |
賃貸用(入居者を募集する)
賃貸用の場合、入居者に必要な最低限の設備を整えることが優先です。市場の賃料水準に見合ったグレードに留めることが費用効率の観点から重要です。
| リフォームの規模 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 最低限の清掃・クロス張替・設備点検 | 50万〜150万円 | 内部が良好な状態が前提。空室賃貸用 |
| 水廻り更新+内装改修 | 200万〜500万円 | 単身向け〜家族向けの一般的な水準 |
| リノベーション賃貸(高付加価値) | 500万〜1,000万円以上 | デザインリノベで高賃料を狙う場合 |
賃貸リフォームの場合、費用回収の目安として「リフォーム費用 ÷ 月額賃料」が概算の回収期間になります。リフォームに500万円かけて月5万円の賃料なら100ヶ月(約8年)が回収期間の目安です。費用と見込み賃料のバランスを事前に確認してください。
売却前のリフォーム
売却目的の場合、リフォーム費用を売却価格で回収できるかどうかの試算が必要です。空き家売却の方法については空き家売却の方法と流れを参照してください。
| 判断の視点 | 内容 |
|---|---|
| 清掃・簡易補修のみ | 費用50万円以下。買主が自分でリフォームすることを前提にした「現状渡し」に向く |
| 部分改修(売れやすくする) | 水廻りの最低限の更新で印象改善。100万〜300万円 |
| フルリフォーム後売却 | 施工会社と緊密に連携が必要。費用回収できない場合も多い |
一般的に、売却前の大規模リフォームは費用対効果が出にくいとされています。リフォーム費用を丸ごと上乗せした価格では売れないことが多く、「現状渡しで安く売る」または「部分改修で買主の印象を改善する」という方向が現実的です。
優先すべき工事と後回しにできる工事
空き家リフォームで予算が限られる場合、工事の優先順位をつけることが重要です。
優先すべき工事(安全・居住の基本に関わる)
以下は後回しにすると危険または将来の修繕費が増大するリスクが高い工事です。
| 優先工事 | 理由 |
|---|---|
| 屋根・外壁の防水修繕 | 雨水浸入が続くと構造体が腐食し修繕費が激増する |
| シロアリ防除・被害部分の補修 | 放置すると床・柱への被害が広がり建物の強度が低下する |
| 給排水管の点検・交換 | 漏水・つまりは使用開始後に発覚しやすく、早期対処が安い |
| 電気配線・分電盤の更新 | 古い配線は漏電・火災のリスクがある |
| 耐震性の確認(必要なら補強) | 1981年以前の旧耐震基準建物は耐震診断が推奨される |
後回しにしやすい工事
| 後回し可能な工事 | 理由 |
|---|---|
| 外構・駐車場 | 生活に直結しないため段階的に実施可能 |
| 壁クロスの全面張替え | 機能上問題なければ優先度は低い |
| 照明器具の交換 | 機能していれば入居後に順次交換可能 |
| 収納の追加・造作 | 家具で代替できることが多い |
見積もりで差が出る要因
複数社から見積もりを取ると、金額に大きな差が生じることがあります。その理由を理解しておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
現地調査の丁寧さ
床下・天井裏・壁内の確認をどこまで行ったかによって、追加工事の発生リスクの見込み方が変わります。丁寧に調査した会社は「この部分は解体してみないと分からない」と明示することが多く、そのぶん初期見積もりに予備費が計上される場合があります。
下請けへの発注構造
リフォーム会社が直接施工せず複数の下請け業者を使う場合、中間マージンが加算されます。施工を一社が担う体制の会社と、複数業者に分けて発注する会社では費用構造が異なります。
諸経費の計上方法
足場代・仮設工事費・産廃処理費・現場管理費の計上方法は会社によって異なります。本体工事費が安く見えても、諸経費が別途で大きく上乗せされる場合があります。見積もりを比較するときは「総額(諸経費・消費税込み)でいくらか」を確認してください。
補助金・支援制度の活用
空き家リフォームに使える補助金は、国の制度と自治体の制度の2系統があります。
国の制度(主なもの)
| 制度名 | 補助内容 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 性能向上リフォームに最大200万円補助 | 耐震・断熱・省エネ改修を行う場合 |
| 子育てエコホーム支援事業(2024年度) | 省エネリフォームに最大60万円補助 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 |
| 先進的窓リノベ事業 | 窓の断熱改修に最大200万円補助 | 既存住宅の窓改修 |
| 耐震改修促進税制 | 耐震改修費用の10%を税額控除 | 旧耐震基準建物の耐震補強 |
各制度は予算額に達すると申請受付が終了します。適用条件・申請期限は毎年変わるため、2026年度の住宅補助金・助成金一覧で最新情報を確認してください。
自治体の制度
市区町村が独自に設けている空き家活用促進のための補助金があります。リフォーム費用の一部補助(10万〜100万円程度)や、空き家バンク登録者向けの改修支援など、自治体によって内容が異なります。居住する市区町村の窓口または空き家バンクの担当部署に確認することで、利用可能な制度を把握できます。空き家バンクについては空き家バンクの使い方を参照してください。
補助金申請の注意点
補助金の多くは「工事着工前の申請」が条件です。工事を先に始めると補助金の対象外になることがあります。リフォーム会社と補助金申請の段取りを確認してから着工するようにしてください。また、補助金対象工事には施工会社の登録・資格要件が定められているものがあり、依頼する会社が補助金申請に対応しているか事前確認が必要です。
空き家リフォームの費用を把握する手順
実際に費用を把握するための進め方をまとめます。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 現地調査(無料診断) | 複数のリフォーム会社に現地調査を依頼。床下・天井裏の確認も含めてもらう |
| 2. 用途の確定 | 自己居住・賃貸・売却のいずれで使うかを決め、それに見合った工事範囲を絞る |
| 3. 見積もり取得と比較 | 2〜3社から同条件で見積もりを取り、総額(諸経費・消費税込み)で比較 |
| 4. 補助金の確認 | 国・自治体の補助金制度を確認。申請条件・タイミングを先に把握する |
| 5. 工事の優先順位決め | 安全・防水・設備から優先し、余力で内装・外構を追加 |
よくある質問
空き家のリフォーム費用の相場はどのくらいですか?
活用目的と建物の状態によって大きく異なります。自己居住用の場合、水廻り設備更新+内装改修で300万〜600万円、スケルトンリノベーションで500万〜1,500万円が目安です。賃貸用は最低限の清掃・設備点検が50万〜150万円から、本格的な改修で200万〜500万円程度になります。ただし、シロアリ被害や雨漏りがある場合は追加費用が発生します。現地調査なしでの見積もりは精度が低いため、必ず現地調査を依頼してください。
空き家リフォームで使える補助金はありますか?
国の補助金として、長期優良住宅化リフォーム推進事業(最大200万円)、先進的窓リノベ事業(最大200万円)、子育てエコホーム支援事業(最大60万円)などがあります。自治体独自の空き家活用補助金もあり、10万〜100万円程度の補助が受けられる場合があります。補助金は予算上限で受付終了するため、早めに確認してください。補助金の多くは着工前申請が条件のため、工事開始前に申請手続きを済ませることが重要です。
築40年を超えた空き家はリフォームする価値がありますか?
築年数よりも建物の状態と耐震性が判断の軸になります。1981年以前の旧耐震基準建物は、現行基準を満たさない可能性があり、耐震補強費用が別途必要になることがあります。構造体(柱・梁・基礎)が健全であればリフォームで長く住める建物になりますが、基礎や柱に大きな問題がある場合は解体・建て替えの方が長期的に合理的なケースもあります。リフォームか建て替えかの判断については、まず建築士やリフォーム会社による診断を受けることが出発点です。
空き家を相続した場合、リフォームより売却の方が得ですか?
一概には言えませんが、判断の基準として以下が参考になります。活用(自己居住または賃貸)の見込みがない場合は、リフォーム費用を投じても回収が難しいため、現状渡しで売却する方が合理的なことが多いです。売却を検討する場合は空き家売却の方法と流れ、売却時の税制特例は空き家の3,000万円特別控除を参照してください。相続した直後にどの選択肢があるかの全体像については空き家を相続したら最初にすることも参考にしてください。
まとめ
空き家リフォームの費用相場は、活用目的と建物の状態によって大きく異なります。自己居住なら300万〜600万円(水廻り+内装)、賃貸なら200万〜500万円、フルリノベーションなら500万〜1,500万円が目安の一つです。これに加えて、シロアリ・雨漏り・配管劣化などの空き家特有の追加費用が生じる可能性があります。
費用を適正に把握するためには、複数社への現地調査依頼と同条件での見積もり比較が出発点です。補助金は着工前申請が条件になることが多いため、早めに確認しておくことが重要です。